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第96回)ダニエル書 その2

レポート

2023年7月11日に第96回ヨシェルの会が開催されました。出席者は11名。

暑さが増しました。唸るような熱気が、全てのやる気を奪って行くようです。でもこの世の混迷は更に上を行く過酷さで進んでいる感覚も強まっています。ダニエル書の2回目、有名なネブカドネツァル王の夢の解き明かしの場面です。言語歴史的な説明や、ネブカドネツァル王の心の内、ダニエルの姿勢、独学で読んでいては気付かないところに驚かされます。語られる師と参加/視聴して下さる皆様と主の導きに、只々心から感謝します。

今日のタイトルは「ダニエル書 その2」。

最初から「ネブカドネツァル王は自分の夢を覚えていない」という前提に圧倒されます。私も、今まで何度もこのストーリーを読んできましたが、この王には二つの可能性しか考えたことがありませんでした。一つは、意地悪な王様。出来もしない無理難題を家臣に突きつける王様。もう一つは、誰も信じられない可哀想な王様。夢の内容を話してしまったら、相手の戦略に乗せられると、極度に誰をも恐れる孤独な王様。

しかし、この聖書箇所を読むと、王が普通の精神状態ではないことが分かると師はサラッと言い切ります。自らの威厳を守るためにも、覚えていないとも忘れたとも言えない…それでも夢の内容が気になって仕方がない、まるで身動きの取れない板挟み状況なのだと。世界最強の王が、すがる様にこの世の知者に問いかけます。そして案の定、無理ですよ、問題が明かされないのに解答が出せる訳がないと、はねつけられます。なので「バビロンの知者をすべて滅ぼせ」と、なるのだと。

「知恵と思慮深さをもって対応(2:14)」したダニエルが、時間をもらい、祈り、答えを示され、語ります。もしかしたら中高生ほどの年齢の若者ダニエルが、世界最強のネブカドネツァル王の機嫌を損ねることなく(尊厳を傷つけず、尊敬の念も示しつつ)、自らの信仰(誰が「神」であるのか)に背くこともなく、夢の解き明かしをします。そして、正解を示された王は、即座に「ひれ伏(2:46)」すのです。

これをファンタジーと読むのか、神のご計画と読むのか。信仰と確信を問われる物語でもあります。自分が、ネブカドネツァルの立場ならどうなのか、ダニエルの立場ならどうするか。短くポツリと聖書に書かれている言葉に、どこまで自分の状況を当てはめて読み解くことができるのか。学べば学ぶほど、読み込み方を知れば知るほど、神は私達を忍耐を持って訓練しているのだと思わされます。

そんな神の見えざる手を考えながら、王の気持ちにも想いを馳せてしまいます。自分で説明できない不安に心が乱されることは、今までなかっただろうか。何か小さなコトの積み重ねが、良からぬことが起こりそうだと「虫の知らせ」的に、ずっと心の何処かに引っかかっている状態。自分が、世界最強の王であるとまでは行かなくても、絶好調であると感じる最中にふと意味不明の不安に包まれる瞬間はなかっただろうか。

これから起こるかもしれない悪しき事態への不安に苛(さいな)まされるだけでなく、何かしら小さな信号を自分が見落としていないかという今までの自分の歩き方への不安感。それさえ出来てこなかったのなら、もっと致命的なミスをして来て、それならば今予想しているよりももっと酷いことが起こる可能性だってあるのではないか…。不安の悪循環が、どんなに王の心を蝕んでいったのかが、微かに分かった気がしてきます。そしてそれは、間違った選択ばかりを重ねる驕り高ぶる現代の強者の姿に、色々な意味で重ねて見えてしまいます。

不安に怒り狂う何でも持っている世界一の王と、神への信仰しか持たぬ若者。自分でも語れぬ夢に押しつぶされそうな王と、確信に満ちて宣言するかのように語る若者。二人の対峙が示すのは、見た目の物語よりも、もっともっと深いことを語ってくれているのかもしれません。信仰者にとって大切な警告も示唆もアドバイスも、今回もたくさん語られました。音声動画・資料を通して更に深くお学び下さい。

感想

  1. 神がダニエル書の中でバビロン王の夢とその解き明かしを通して人類史を示して下さったので、ヨハネの黙示録と併せて困難な未来と永遠の希望への心の備えができ、現在をどう生きるべきかの指針を与えられることは恵みです。また、誰をもご計画の為に用いる神ですが、今回はカルデヤ人の呪法師達までもが肉なるものとはかけ離れた神の力を認め告白、王もダニエルの信じる神こそ主であるとひれ伏す場面があり、全ての者にご自身を知らせようとする広い神の御思いが達せられた場面に晴れやかな気持ちになり、王に心から尊敬して仕え、バビロンの知者たちをも救おうと訴えたダニエルの姿勢には本当に感動しました。

  2. 今回の学びの箇所はまるで映像を見ているかのような感じがします。自分の見た夢で心騒ぎ、悩まされ苛ついている王。自分たちの力・知恵・方法ではどうやっても解決できず困り果てている呪法師たち。王の周りにいて困惑し動揺しながら状況を見守る側近たち…そのような中で真の神を信じ、神の知恵に満たされている若きダニエルが登場!思慮深く冷静な態度で応対し、主に栄光を帰し、夢の解き明かしをするという見事な展開。誰もがダニエルの神の偉大さを認めざるを得ない状況に遭遇したのである。バビロン王の夢とその解き明かしを通して神は「異邦人の時」に関してのご自身の計画、人類史を顕された。いつも講師が力説しているように、歴史的事実を鑑みて、現在起こっていることの背景を理解し、終わりの時代への備えをすることの重要性を再認識しました。夢とビジョン、天界のコンピューター、バビロン帝国、神の子たち…などの解説も興味深かったです。丁寧で詳細な解説に感謝します。ありがとうございました。

  3. ダニエル書を学ぶことは人類史の背後について学ぶことであり、それは今起きていることを把握する重要な鍵となると熱い語りから始まった今日の講義。内容の濃いさまざまな視点からの解き明かしに感謝します。 まだ10代の若い青年ダニエルが知恵と思慮をもってネブカドネツァル王やアリヨクに対応している。ダニエルの思慮はその場を取り繕うような知恵ではなく相手を尊重した真実で謙遜を伴うもので、これは御霊によって与えられる知恵なのだと教えられる。神さまへの絶対的信頼、知恵や理性を与えられるのは神のみ。神こそが主権者、支配者であることを知っていたダニエル。頭で知るのではなく、霊と肉において知っていた。 終わりの日に生きている今の私たちにとって、どのように対応して生きていくかを具体的に指し示してくれる貴重な学び。これからの学びが楽しみです。

  4. 今日の学びでは特にバビロン王ネブカドネツァルについてのお話が興味深かったです。これまでの視点は王のみた夢の内容が主でしたが、今回は王自身にも焦点をあてることができ、新たな気づきや発見があり嬉しかったです。改めて聖書の読み方を教わったような気がします。全知全能の神はご自身のご計画をすすめるにあたって、あらゆる状況下においてさまざまな人々を用いられるお方である事を思わされます。たとえその国の王が無謀な命令を出したとしても、もし彼の側に神の知恵を宿し助言できる賢い側近がいればその国民は救われます。日本もそのようであって欲しいと切に願います。次回も楽しみにしています。貴重な講義、ありがとうございました。

  5. 先回に続き、今回もとても良く分かりました。 これからの学びが非常に楽しみです。ありがとうございました。

  6. 敵(苦手な相手)に説明する時、語る自分だけでなく相手も整えて下さいと祈る必要があること。この時のダニエルにとってユダを崩壊させた敵であるバビロンの王に対し賛辞を述べている(敬意を表している 37節38節)ことは新たな発見でした。