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第95回)ダニエル書 その1

レポート

2023年6月13日に第95回ヨシェルの会が開催されました。出席者は14名。

黙示録を終え、新たな預言の書を学び始めます。しかも新しい解釈が加わります。この世の混迷と不安は深まるばかりですが、聖句が心を落ち着けてくれます。黙示録がこれからのことを中心に語られてきたのに対し、ダニエル書は既に成就した事柄が中心です。神が如何に私たちを放置せず、約束を反故にせず、守り続けてくれたのか、そして守り続けてくれるのかを見ることになります。時代背景も含めて、現代を生きる私たちと、何が違って、何が違わないのかも実感できたらと願います。語られる師と参加/視聴して下さる皆様と主の導きに、只々心から感謝します。

今日のタイトルは「ダニエル書 その1」。

イントロダクションとして、時代背景が語られます。現代諸国のパワーバランスは複雑ですが、数千年前のこの時代は、ある意味分かり易いのかもしれません。イスラエルの民が、列強の中でどのような状況にあったのかを最初に学びます。様々な人がどんな想いで生きていたのかが垣間見えます。国という大きな存在に対して、個人の無力さを嘆くのは人間の常かもしれません。ダニエルの時代も同じです。でも果敢です。驚くほど純粋で果敢です。

そして同時に、その時代の流れが、聖書にはどのように書かれ、それが成就していったのかも見ていきます。ノアの言葉、セム族とハム族の拮抗、大国の出現、若き大王の登場と退場と後継者を巡る混乱。人の世の不安定さと混迷が、今なお続いていて、実は誰も幸せになんてなっていないんじゃないかとさえ思ってしまいます。神を否定し、離れた結果の不幸、的はずれな生き方の結果…そんな言葉も浮かんできます。

しかし、神は言葉を用意し、人を備えて、時代をゆっくりと動かしていきます。悪政に対する反旗が上がります。それも限りなく勝てる見込みのない人数での反乱です。人数や武力に酔いしれないように、神は敢えて少人数に目を留めます。神の介入を誰も否定できない状況を好まれるのかもしれません。

悪政とは、神を神とも思わない政(まつりごと)のことです。それは、人を人とも思わない政のことをも意味します。何故なら、神は人をご自身に似せて作られたからです。神を神とも思わないとは、高慢になり自分自身が神になってしまったかのような振る舞いをすることです。つまり、そんな人間のする行いは、人を人とも思わない振る舞いを平気でする状況に繋がるものなのです。そう考えたなら、誰を「神」とするかという宗教戦争じみた問題が、現代でも普通にはびこっている問題と重なります。

数千年前の歴史を学びながら、汚れた流れに抗う者たちを思いながら、今の時代を考えてしまいます。悪意や欺瞞や驕り高ぶりは、実はずっと存在しています。今に始まった訳ではありません。そして、それらが間違っているとはっきりと叫び抵抗する者たちも常にいたのでしょう。

ダニエル書は、時流の流れに静かに抗った物語です。そして抗ったが故に物語として語り継がれている物語であるとも言えます。もしもダニエルたちが神の声を聞かずに黙ってしまっていたならば、神は他の誰かを立てたかもしれませんが、私たちに残される「物語」は違ったものになったでしょう。

今の世が「的はずれ」であれば、神のみ心にそって生きる人々にとっては、「この世」は対立する流れであることは間違いありません。その対立するものに、どのように抵抗していくのか。ダニエルたちは暴力にも数の理論にも依らずに、むしろ静かに一人で戦いを貫いている様に見えます。

最後の質問タイムで、正しい評価をする「王」がいるダニエルたちは幸運なのではないか、と質問しました。現代の悪政者たちにそんな良心がある訳がないという諦めを含んだ質問でした。しかし師の答えは、「王が正しかったのではないだろう」でした。つまり、王自身は正義に無頓着でも、周りにいる宦官たちが王が納得する形で報告したのではないか、というのです。エジプトの助産婦を思い出します。「ヘブル人の女はエジプト人の女とは違います。彼女たちは元気で、助産婦が行く前に産んでしまうのです(出エジプト1:19)」。

語り継げていくのが「伝道」だと思いがちですが、抗うことも「伝道」なのかもしれません。最後にユダヤ式の教育についても触れています。事の本質を考えるように育てることの大切さが語られます。ユダヤの人々は、聖書自体を、事の本質だと考えて成長しているのでしょう。信仰者にとって大切な警告も示唆もアドバイスも、今回もたくさん語られました。音声動画・資料を通して更に深くお学び下さい。

感想

  1. ダニエル書の第一回目。ダニエルの時代の歴史やその背景を講師の淀みない講義に圧倒されつつ、その内容のすごさを改めて感じてしまいました。ダニエルの絶対的な神への信頼、血と肉となって全く迷いがない信仰はどうしてなのか。これからの学びの中で自分なりに探ることができたらと思います。講義の終わりの知識と知恵についてタルムード式勉強法とギリシャ式勉強法があると知り、演繹法やピルプルの言葉をもっと調べたくなりました。箴言に主を恐れることは知識の初め。主を畏れることは知恵の初めとあります。人が真実に良く生きるための土台となるものが主を知り畏れることから始まると信じます。

  2. 時々、子どもの全く疑うことをしない純粋さに驚かされることがあるのですが、少年ダニエルの神に対する従順と信頼、それに応える神、その関係の中心は愛であって、神と人との最も大切な在り方なのだと思わされました。その中でダニエルは神に大きく用いられる者に成長していくのですね。続く学びに期待します。

  3. ダニエル書の学びを始めるにあたって、時代的背景などを詳しく解説してくださったので、内容に関しての理解がしやすくなると思いました。今回の学びでは「知識と知恵」に関する解説がとても興味深かったです。ユダヤ人は賢いというイメージがありますが、そのベースとなっているのはやはり神から来る知恵なのだと改めて思わされました。霊的な理解は、神を求める者だれにでも与えられるとの言葉に励まされ、主と聖書のみ言葉をもっと深く知るための学びをこれからも続けていきたいと思います。ありがとうございました。

  4. ダニエル書は興味深い内容なので、何度か読んではいるのですが…自分の頭では理解できない事柄、特に預言に関してはさっと読み流していました。今回は時代背景、歴史的出来事や終末預言に関して詳しく講義してもらえるので楽しみです。また、章ごとではなく時系列で解説していただけるとの事ですから、整理しやすく理解が進むのではないかと期待しています。「七十週の預言」の新解釈も楽しみです。

  5. 壮大な世界史の始まりを聞いた感じがしました。これから学んでいくことにワクワクしています。ありがとうございました。

  6. ダニエル書を学ぶ前に背景を聞くことができ、理解の助けになりました。大変良い学びでした。時代・人名が多いのでぜひ表にして整理したいと思います。